HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

街は今日も雨さ。びしょぬれの心の向こうで

どんよりと、曇る空。隙間無くシトシトと降る雨。うつむき歩く人々は傘を差し、すれ違い、隣り合う間隔がいつもよりさらに遠のく。無機質な円錐形が、ただ黙って前後していく。
それを空の上から見ていた神様が思った。(生きていくうえで必要なはずだから雨を降らせてるのに、みんなそんなに濡れるのが嫌いなのだろうか。いや待てよ、風呂に入ったりシャワーを浴びたり、海で泳ぐヤツもいるよな。濡れるのが嫌いって訳じゃなさそうだ。)
この疑問を解くため、神様は人の姿を借りて街を歩くことにした。もちろん最初は傘を差して。
歩きながらふと、傘を放り投げ大声で叫んだ。「みんな濡れるのがそんなに嫌いかい?恵みの雨なんだぜ?」
ただでさえ、灰色の空の下で気落ちしている人々が答えるわけも無く、ただみんな黙って横を通り過ぎるばかり、ヒソヒソと耳打ちしながらチラチラ見ている女性たち。
ふと足元にアマガエルが現れてこう言った。「よう、アンタは人間か?俺たちと違ってさ、人間ってやつは厄介だよな。濡れると動き辛いらしい。後なんか体調崩すらしいぜ、濡れて体温が下がると。」神様は思った。(そうか、忘れていた。私は風邪など引かない。)
とうわけで、もとの姿に戻った後、人々が雨を嫌わないよう思考錯誤しはじめた。雨雲をピンクにしようかとも思ったが、冬のことを考え、雪までピンクになってしまうのは許せなかったので止めた。カエルの話を思い出し、雨を暖かくしてやろうかとも思ったが、北極や南極の氷が融けてしまうと色々まずい問題が起きるので止めた。悩んだすえ、雨の日をどうこうするという観点を捨て、雨が上がった後のことを考え始めた。それで虹を造った。最初はピンクにしようかとまた思ったが、ピンクを嫌いな人間もいるだろうと配慮し、七色にした。(我ながら良いセンスしてんじゃん)と満足げだった。