HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

ロストメモリーズ

ちょうどそんな話をしていた、その夜に。
よく映画とかで、記憶喪失の人が無理に自分のなんたらを思い出そうとすると、激しい頭痛に襲われますね。



週末の夜、酒を飲みにゆく。気の知れたバーへ向かうといつものマスターはおらず、俺の兄弟分がカウンターに立っていた。1月ぶりに会ったヤツは、また少し太ったようだった。偶然に少し喜びを感じつつも、別件の約束が会ったのでそっちへ顔出しに行く。「また戻るから店開けててくれ」と手袋を残し店を出る。小一時間ほど宴会の場にいて、バーへ戻る。周りの人間の変わっていく様などにスポットを当て、話と酒は進んでいく。ボウモアというスコッチをストレートで飲み干す。千夜の夢という焼酎を飲み干す。そろそろ帰ろうかと財布を出し、店をでる。

気が付くと、家の前の通りに停まったタクシーの中にいた。

支払いを済ませようとケツのポケットに手を伸ばす。「あれ、無い。」上着の中ポケットかと思い手探る。「やはり、無い」とりあえずゴリ押しなツケにすることにでき、運転手に自分がどこでどんな感じで乗ったかなどを聞く。彼曰く、大通りの反対側から道路を渡って乗り込んだらしい。家に着き、念のためもう一度財布を捜す。やはり無い。警察署へ遺失物届けの電話をする。やり切れなくなって、落とした(スラレた)近くの交番へも電話をする。飲んでいたあたりの交番にも電話をする。待つしかないが。タクシーに乗ったであろう場所の近くへ行く。自転車がある。むろん自分のだ。かごに入っていた手袋を取り、とりあえずその場を去る。コンビニに寄ったかも知れないので、店員に聞くが、冷たい返事だ。道のりを思い出そうとするが、全く思い出せない。代わりに頭痛が襲う。家にもどり、ウトウトとしながら一日を過ごす。まだ頭痛はとれない。夕方仕事を終えた妻が家に帰ってきた。知らない番号から何度も連絡があったらしい。交番だ。折り返し電話をすると、おそらく俺のであろう財布が届けられたらしい。中身も無事のようだ。妻に呆れ顔をされながらも受け取りに行き、今日という一日を棒に振ったことを反省しつつ、見つかった財布の無事に顔がニヤけた。
フィクションだと思いたいところだ。