HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

Don't call let's shower good

鈍行列車は良い。

色んな人たちの、人生のストーリーを垣間見れる。






齢70を過ぎているであろう、老婆が向かいに座っている。

背中が丸まり、眼鏡の下にはたるんだ頬の肉が下がっている。

しかし老婆、というよりは“おばあちゃん”というほうがしっくりくる。

ウールの黒いベレー帽、英字がプリントされた黒いTシャツの上に黒地に花柄のシルクのシャツを羽織り、薄いブルーのデニム、白いスニーカー、という服装。


荷物を脇に置き、黙々とうつむいて、チマチマと両手を動かしている。

ピンクと白の毛糸で何かを編んでいる。



孫へあげる何かか、まだ編み棒の先にできたものからは判然としない。


だからこそ、どんなストーリーがあるのか色々と想像できる。







そして僕の目は、そのおばあちゃんの隣くらいに座っている露出度の高い服装をしたショートボブの若い女性から離せずにいる。







別線にて

当駅始発である列車に乗り、発車時刻まで待っていた。


階段近くの号車に乗っていたので、扉の開閉が頻繁だった。

時刻が迫るにつれ、座席が埋まっていく。

オレンジ色のエプロンに髪を後ろで結った女性が入ってくるなり、「よかった〜」ともらす。

が、乗り遅れを案じていたわけでは無いらしい。



彼女は座席の中央くらいに座っていた中年女性に向かって、
「お客さま、これさっきのお釣りです、50円」と言って渡し、扉の“閉”ボタンを押しながら出ていき、階段を駆け上がった。

改札近くの売店の店員だろうか、客が忘れていったお釣りを渡しにホームまで探しに来た、という事実にちょっとした驚きとほのぼの感を覚える。



ちなみにこの駅には在来線で6つほどのホームがあり、探し出せた事も奇跡に近いのではないかと思う。





そんな事がありながらも、僕は隣に座ってきた子の黒タイツが視界に入り込んできて、読書に集中できていない。