HAPPY! I SCREAM

妄想雑記

wheel of fortune

「運命的な出会い!ってよく言うけどさ、その出会いにはどんなのが入ると思う?」
『えー?角を曲がってぶつかって、お互いに持ってた荷物が落ちちゃうとか、通学の電車で隣り合わせに座ってた人が、クラス換えで隣の席になっていつの間にかノートを見せ合うようになっちゃったりとか?』
「じゃあ、別に運命的じゃない出会いってのは?」
『ん〜、年の離れた会社の上司と部下、同窓会で会っても一瞬誰だか分からない人とかかな?』
「ようするに、片方からの主観で決まるって事か。上司を好きになる部下だっているし、隣の席のクラスメイトに何の感情も持たない人だっているもんね。」
『そう言われるとそうかもね。一方的に、"この人はきっと運命の人だわ"って言ってるだけかも。でも、もしも万が一相手もそう想ってくれてたら、それは運命の出会いじゃない?』
「夢見る少女とロマンチシズムに溢れた純情少年同士なら、その可能性はあるかな。でもある程度年を重ねるとさ、運命的な出会いなんていう建前なんていくらでも口にできるじゃん。」
『ブチ壊しね。』
「現実主義、と言ってもらいたい。」
『わたしは、アンタとの出会いを運命的だと思っていたのに』
「・・・オレもだよ」
『どうせ建前でしょう!』
「まさか、本気さ」
『どうだか』
「だってさ、中学の時のなんでもなかった同級生が、高校の時に付き合って、卒業と同時くらいに別れて、何年か経ってから引っ越しの挨拶に隣の部屋のチャイムを鳴らしたら誰もいなくって、置き手紙だけして部屋に戻って何時間か後に自分の部屋に来客があって、ドアを開けたら置き手紙を持って元カノが立っていて、ちょうどその頃お互いに傷心中、なんてシチュエーションを運命的だと言わなくてなんて言うんだよ?」
『ただの偶然』
「偶然は必然。この出会いが必須だとしたら、それは運命だろう」
『急にロマンチストになったわね。さっきまでは現実主義を掲げていたっていうのに』
「好きな女のためなら、何にだって変わるさ」
『わたしは、芯のブレない人が好きなの』
「キミを好きだっていう、中"心"はブレてない」
『とりあえず、玄関で立ったままする話じゃないわよね』
「あがりなよ、淹れたてのコーヒーがある」
『うん。』

『でもわたし、コーヒー好きじゃないって昔言ったことあるの忘れた?』